おっさんエンジニアがまったり1年かけてTOEICを265点上げて800点を達成した話(2)
前回までで英語学習のための背景を話しましたが、次は学習の骨格となる、モチベーションの話を。
モチベーション
『英語を勉強する』って言うと、この現代社会、右にも左にも勉強法が溢れていて、頼まなくてもノウハウを教えてくれるような世界だったりするじゃないですか。
ところが、あちこちで聞きまわったノウハウを手にして実際に英語学習に取り組もうとしても、長続きしなかったり効果が出なかったりするというケース、割と多かったりしません?
少なくとも私はそうでした。
- えいご漬けでゲーム感覚で勉強しているはずなのに、いつしか苦痛まみれになり、勉強を止めてしまう
- iKnowをLifetimeプランで買って自腹を切っているのに、やっぱり苦痛で単語が身につかない
- そもそも12年間も学校英語やってきて、しかも好成績で卒業しているのに、一向に英語が楽しくない
最後の奴、実はそうなんですよ。学校英語の成績は決して悪くなかったのに、社会人になってから英語に苦しんでたりするんです。
『自分にだけ意味のある、英語に取り組むメリット』に腹落ちする
この理由はいたって簡単で、
* 英語を習得する/使いこなすことに対するメリットを腹落ちしていない
ことに尽きます。
口でも頭でも『英語を理解できたらいいなー』と漠然と思っている状態だと、英語学習を作業以上の何者かにすることができないんです。
前の記事で長々と、個人的な背景を語ってきたのには明確な理由があって。あそこで書いたことが、『私にだけ意味のある、英語に取り組むメリット』なんです。
客観的に見れば、英語を習得した程度で、一個人が世界に何等か影響を与えることなんてできないのかもしれません。
しかしそれは他人にとっての意味付けであって、私にとっては関係のない話です1。
自分の中に、自分のためだけの、英語を取得するメリットが内発的に存在し、燃え続けている限り、英語学習の歩みを止めない原動力になりますし、空回りを防ぐこともできます。
まずはこれを灯し、薪をくべ続け、消さないことを意識しましょう。
長期戦であることを覚悟する
よく、『2か月で』『3か月で』800点取るぞ的なキャッチーな広告なり、成果報告なりを目にすることがあります。
短期間でがむしゃらに、というのは確かに一見効率よく見えますし、実際に成果を得られるのであれば、それはそれでよいことだと思います。
一方で、学業にすべての時間を使える学生と違って、現実世界で日々の仕事や生活に追われながら生きる我々としては、1日10時間の勉強なんて空想の中だけの話ですし、5時間確保するのだって極めて難しいわけです。
また、後述しますが、TOEIC800点取ったからと言って、一部で喧伝されるような英語全能者になれるわけではないですし、これから先も絶え間なく学習の道は続くわけです。
この辺の状況を考えると、
* 会話も含めた実践的な英語習得はロングスパンで計画し、行動する
ということは大事です。
私の弟は大学時代から英語に秀でていて、今は世界を飛び回りながら英語で研究者と議論するような堪能な奴なんですが、その弟にして、
『英語の勉強ってコスパ悪いからね』
って言ってましてね。短兵急に結果を求めて落胆しないようにするためにも、長期戦であることは覚悟しておきましょう。
苦痛にするほど追い込まない
長期戦である、ということは、『一瞬だけ苦しい思いをして突き抜ければあとは楽』みたいな戦術が使えないってことです。
もし日々の戦いが苦痛で、その戦いが長期戦なら、ずーっと苦痛が続くことになりますが、それは誰だって嫌ですし、脱落者を生む道ですよね。
であるならば、
* 日々の取り組みを苦痛にしない。苦痛だと思ったらいったん止めるなり、やり方を変えて苦痛でないようにする
という意識もまた必要になってきます。
ずいぶん昔にこういうツイートが流れてきたんですが、
これ格ゲーにも同じ事言えるなと思います pic.twitter.com/A2vZgyNlGN
— ばばさん (@a_ri_ba_ba) 2017年3月19日
私はこれとは逆の立場を取っていて。
たぶん今の教育制度で教育された人の大半はこう考えるのでしょうけど。
— dimeiza (@dimeiza) 2017年3月19日
>RT
この発想、つまり『苦学』に対し、
苦しまずに、
必要なことだけを、
継続的に学ぶ
が、ここ10年来志向されてきた学習スタンスで、これに沿っている学習プロセスはことごとく勝利を収めているのですよ。
例えば今は昔と違って、新技術を広く展開しようと思ったら、ペインレスなチュートリアルって必須じゃないですか。
最近だとAVS Device SDK/Google Assistant SDK、Amazon FreeRTOSのチュートリアルなどは、指定された機材(Raspberry Pi等)をそろえて指定された手順通りにやれば、サクッと動く成果物を作ることができます。
学習曲線を急峻にせず、一段階づつ着実に、転ばないよう無理なく知識を与え、最終的に何等か動く成果物をインセンティブとして与えるように設計されているわけです。
適切に設計された学習計画を公式が与えることで、新来者を増やしてユーザの水かさを増し、市場を取っていくのが今どきのイケてる技術普及戦略ではないかな、と。
我々が英語のチュートリアルを自分たちのために作るとしたら、同じように学習曲線を急峻にせず、転ばないように整備し、(自分という)ドロップアウトを出さないデザインにしたいと思いませんか?
私はそう思いました。
となると、
- 1回の学習時間を長時間にしない。
- 生活や仕事とコンフリクトするサイクルで学習しない。
- 学習時間の中に、学習の本質と関係ない不要な手間を含めない。
- 学習にリズム、サイクル、イテレーションを与え、成果にインセンティブを与える。
といった円滑化を考えていくことも、一つ無視できない要素になってきます。
自分にとって最適な勉強法は自分でしか発見できない
最後はこれです。
Qiitaですげー数のいいねがついているこの勉強法、私も見たのですけど。
2つ目は私が英語学習に取り組む前に見ていました。両方とも、私もいいねしましたし、成果を出していて立派だと思いましたし、一部は参考にしています。
ただ、『これが私にとって最適な勉強法か?』と言われると、答えは明確にNoなんです。
例えば前者で言うと、
1000時間やることにします。1日3時間くらいやればよさそうです。
この時点でエー、と思うほど、私は根性なしですし、
まず最初に発音、基礎文法、瞬間英作文をやりました。
発音と文法は私も取り組んだんですが、瞬間英作文は800取るまでに全く手を付けていません(今ちょうどやり始めています)。
後者については、
2010年10月(大学2年生/学習開始時)
先方は学生、一方でこっちは社会人(しかもいい歳の)で、置かれている環境、コンテキストからして全く違うわけです。
自分にとっての勉強法を考えるときに、(このBlogも含めて、)他者の成功体験を参考にすることはできます。
が、自分という人間のコンテキスト(境遇、仕事、性格、傾向)を知っているのは自分だけなので、そのコンテキストに最適な学習法を編み出せるのは自分だけだ、ということは認識しておくといいと思います。
誰かが成果を出した勉強法であっても、自分がやりたくなかったり、成果が出なかったりするのであれば、自分にとっては無価値。逆に誰かにとって意味がなかったとしても、自分が成果を出せるなら、そのやり方には自分にとっての価値がある、ということです。
平たく言うと、『英語の勉強法は(自分も含めて)学習者の数だけ存在する』のです。
自分の学習法は他人からコピーするのではなく、これまで述べた3点を意識しつつ、いいと思ったものをまずは取り込んでみて、実際に回しながら評価し、組み立てていくと、しっくりくるものができるんじゃないかと思います。
ここまでのまとめ
- 誰よりも自分にとって、英語を学ぶメリットを意識し消さないようにしよう。学習という作業をする価値はそこからしか生まれない。
- 長期戦であることを覚悟する。たとえ800取っても英語への学びはずっと続くのだから。
- 学習を苦痛にしないようにしよう。自分にとっての英語チュートリアルをペインレスに、ドロップアウトを出さないように設計する。
- 自分に最適な学習法は自分で組み立てる。他人の成功例をうのみにする代わりに使える所を盗み、回しながら評価しよう。
一見ポエム的に見えるんですが、自分の感触としては学習計画や方法よりも、この辺りのモチベーションが学習の骨格であり、成否を分けると思ったので力いっぱい書きました。
では、そろそろ戦術的な話に入っていくことにしましょう。以下次号。
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最後に成果をちらっと話しますが、英語でアウトプットをし始めたりしているので、ほんのわずかではありますが影響を与え始めたりしています。↩