dimeizaのブログ

興味のある技術(IoT/VR/Smart Speaker)とか、資格試験の話とか、日常で出会ったTechな話について書いています。

Developer's Summit 2016 【18-E-4】FinTech 金融とテクノロジーの○○な関係 聴講メモ

講演資料

2/21時点で未公開。

概要

 『お金のデザイン』というFinTechベンチャーにジョインした立場から、現在のFinTechの定義、日本の現状、『お金のデザイン』がやろうとしているサービスと、FinTechの未来の可能性を語る。

スピーカー

『お金のデザイン』の佐藤さん。

詳細

金融とテクノロジーのイメージ

  • 昨年までと違い、最近『お金のデザイン』というベンチャーにジョインした。

  • 最初に挙手によるアンケート。

    • 『金融とテクノロジーの○○な関係』というタイトルだが、金融とテクノロジーの組み合わせについてどういうイメージがあるか? ポジティブ? ネガティブ? ニュートラル?

      • ポジティブなイメージの人が多数だった。
    • 自分は、社会人になるまではニュートラルで、特にイメージがなかった。
    • 一方で、社会人になってから今の会社に転職するまではネガティブなイメージだった。
      • 受託開発で苦労する人が周囲に多かった。
      • 大きな金融系の障害を目の当たりにする年代でもあった。

Fintechって何だろうか?

  • アメリカを中心に盛り上がっているが‥。

  • Fintechの定義を調べていくと、多義的であることが分かる。

    • 古典的な定義
      • 金融産業にソフトウェアを導入し、業務改善を行う。
      • 持続的イノベーション
      • コモディティ化の危険がある。
      • 結局、プラットフォームベンダーと大規模金融機関が恩恵を受ける形態。
    • 現状の定義
      • 古典的な定義に加え、Market Disruptorとして競争優位性を持続させる。
      • 既存プレイヤーに吸収されない競争力のイノベーションを起こす。
    • 革新的な定義
      • あらゆる側面でテクノロジーとソフトウェアを最大限に活用する。
      • ここまで来ると、金融ビジネス自体のパラダイムシフトが起こる。

日本のFinTechの現状

  • 日本でも少しづつFinTech企業が出てきている
    • 日本では送金、資産運用、投資、銀行インフラ等に企業が少ない。
    • 何故か?
      • 許認可業だから。
      • 日本のFinTechは、リーンに始めやすいサービスから始まっている。
    • これから規制業種領域へ広がっていこう、というのが日本Fintechの現状。

金融に対してTechでイノベーションする

  • 金融規制業種にスタートアップが参入する難しさ。企業の特性が相反している。
    • 人員
      • 金融規制業種は、社員の役割を細分化している。
      • スタートアップは社員一人あたりの裁量を大きくしている。
    • 資金
      • 金融規制業種は、顧客を保護するため潤沢に確保する必要がある。
      • スタートアップが調達できる資金は限られている。
    • 仕事の取り組み方
      • 金融規制業種は正確性が命。
      • スタートアップは小さなミスのリスクを取りながら絶え間ない改善を行っていく。

相容れないのでは?

  • 鍵は、徹底したユーザ視点。
    • 規制はユーザのことを思って作られたものである。
    • 規制の裏にあるユーザへの思いを受け止めることが大事。
    • 規制に対して文面通りに対応する、というのではダメ。

『お金のデザイン』のビジョン

  • 金融サービスを民主化していきたい。
    • そのためのアプローチとしての資産運用ビジネス。

資産運用ビジネス

  • 再びアンケート。

    • いま資産運用している人は?
    • 資産運用している人は意外に少なかった。
      • 難しいと考えている人が多い。
  • 資産運用ビジネスの現状を見ていると、

    • 煩雑でわかりづらいというユーザが多かった。
      • シンプルで明快にしたい。
    • 一部の人しか使えないように見える。
      • 誰もが当たり前に使えるようにしたい。
    • 金融機関に相談すると、国内の資産へ誘導されやすい。
      • 世界へ資産を持てるようにしたい。
  • そこで、金融とテクノロジーがガッツリタッグを組み、以下の3つのキーワードを軸に資産運用モデルを提案している。

    1. ETF 1
      • 金融(Finance)分野。
    2. ロボアドバイザー 2
      • 技術(Tech)分野。
      • オンラインで資産運用を自動でサポートする。
      • オンラインサービス、資産配分アルゴリズムは独自開発。
      • ユーザは質問に答えると、目的、考えをプロファイルし、ポートフォリオを提示する。
      • リバランス3を自動で行う。
      • ポートフォリオの中身も定期的に見直す。
    3. 一任運用 4
      • 金融(Finance)の分野。
      • プロにお金を預けて任せる。
  • 金融とTechの両輪を大事にしている。

    • 金融系プロはたくさん集まっている。
    • Tech系プロはまだまだこれから。

自分はなぜFintechをはじめたのか

  • 自分のキャリアは、宇宙開発(Jaxa)→ネット広告配信PF(MicroAd)。

  • ビジョンに共感した。

  • 多種多様なバックグラウンドを持つ人々と協業できるのは面白い。
  • 世代、キャリアに依存しない、皆が対等に良いサービス、という点に共感した。
  • ミッションクリティカルと先進的、柔軟の両立の難しさがある。

  • ネットサービスを手がけてきた人にメッセージ。

    • ネットサービスという実験場で培った技術を、金融に持って行ったら面白いのではないか。

これから

金融の民主化の未来を考えて、実現していきたい。

  • 例えば、現在、過去、未来のお金の可視化ができたら面白い。
    • 未来に何かを買う予定がある事をシステムに入力すると、いま目の前にある買い物をすべきか我慢すべきかを教えてくれるとか。
  • 手ぶらで毎日暮らせるサービスというのも面白いと考えている。
    • 財布を持たずに買い物や飲食をして、後で自動で引き落とされるような社会。
    • 一部では実現されていたりするが、これを一般の人ができたら面白いのでは。

全社員がUX(User eXperience)にコミットする会社のロールモデルにしていきたい。

  • システムを作る側やフロントがUXを考えるのは当然だが、バックエンドやオペレータの人もUXを考える会社。

  • 『お金のデザイン』は、証券会社のライセンスを取った。

    • 実は取らなくてもビジネスはできるが、これはUXを考慮した結果。
    • 証券会社のライセンスがないと、他の証券会社に口座を開いてもらわないといけない。 -この手間はUXに反すると考えた。

システム開発構造改革

  • 大手SIerにいた頃、多くの同期は言われたものを作るだけの仕事だった。

    • 客もエンジニアも悪いわけではない。構造の問題だと思う。
    • 例えば、2009年において、ITエンジニアがユーザ企業、IT企業のいずれに所属しているか、配分を示した資料がある。
      • これによると、アメリカはユーザ企業に所属しているITエンジニアの比率が圧倒的に高い。
      • アメリカは7割、日本は2割ぐらい。
  • 規制業種の中で、外注に頼らず自分たちで作っていく、というスタイルを確立したい。

    • もちろん、IT企業をなくせ、と言っているわけではない。
    • ユーザ企業はもっと自分たちで作る、IT企業は先進的な技術提供に特化する等、役割分担の問題だと思う。

  1. ExchangeTradedFund(上場投資信託)。投資信託でありながら株式と同じような売買が可能。

  2. 資産運用方法(ポートフォリオなど)を自動で提案するソフトウェアサービス。

  3. ポートフォリオ内の資産配分が偏ってしまった時に、配分比率を再調整すること。例えば、株式、債券等複数分野に投資している時、一時的に株価が上昇して株の資産比率が大きくなった場合に、株を売却して資産比率を調整したりする。

  4. 投資業者に資産運用、管理の権限を一括して委任すること。