dimeizaのブログ

興味のある技術(IoT/VR/Smart Speaker)とか、資格試験の話とか、日常で出会ったTechな話について書いています。

Developer's Summit 2016 【18-A-3】myThingsからみたIoTの未来と課題 聴講メモ

講演資料

 2/21時点で未公開。

概要

 Yahooが提供を始めたIoTサービス『MyThings』を通して見えてきた、IoTの可能性と現実的な課題について説明する。

スピーカー

  • 前半はYahooの山本さん。
    • IoTの可能性について話す。
  • 後半はYahooの倉林さん。
    • IoTの課題について話す。
    • ID連携 『黒帯』1 ID厨らしい。

詳細

IoTの可能性

IoTの定義

  • IoTという言葉を正確に説明できる人は現状いないのではないか。

    • とりあえずこのセッションではIoTを2種類に分類する。
    • 工業系IoT。
      • スマートファクトリーとか。
    • 商業系IoT
  • 今回のセッションでは商業系IoTのことについて話す。

MyThings

  • YahooのIoT向けプラットフォーム。

IoTを構成する要素

  • 3つある。
    1. レイヤー
      • センサー
      • プロセッサー
      • ネットワーク
      • クラウド
      • といった技術的な階層。
      • MythingsはIoTサービス間の連携を果たすサービスであって、このレイヤに収まらない。
        • あるIoTサービスの状況を検知して、他のIoTサービスを動かす。
      • なぜIoTサービス間連携を選択したのか?
        • モノの状況を理解して、連携してコトをなすのがIoT。
        • モノ、コトにIoTサービスを見立てることで、IoT間の連携、という概念を重視した。
    2. マーケット
      • 商業系か工業系か。
        • MyThingsは商業系。41種類のIoTサービスを連携可能。
    3. フェーズ
      • 試作と量産。
        • MyThingsは試作と、ユーザ体験のフォローを行う。

なぜYahooがIoTに?

  • 現実世界の課題をより自然な形で解決したいから。
  • PCやスマホでの課題解決は得意。
    • だが、PC、スマホだけでできない課題解決を考えたい。

IOTは現実世界の課題を解決できるのか?

  • 岐阜県限界集落に行って、課題解決のフィールドワークに取り組んでみた。

    • 何が出来るのかと思っていたが、話を聞いてみるといろいろ取り組めそうな課題はある。
      • 獣害(熊)
        • センサーで熊を検知して、鈴を波状に鳴らす。
        • 熊を誘導できないか、ということも考えた。
      • ライフライン(水源)の監視
        • 水車をつけて水流を監視するとか。
    • このフィールドワークで、IoTは現実世界の課題を解決できるのでは、という糸口を掴んだと思った。
    • MyThingsはこうした課題解決のハードルを下げられるのではないか。
  • 課題は量産では。

    • 試作止まりになってしまう。
    • 試作段階で出てこなかった問題が量産段階で出てくる。

IoTにおける課題

  • プロトタイプと量産型プロダクトの差。
  • 初期のプロトタイピングでは、メイン以外の機能検証が後回しになりがち。例えば以下。
    • 認証。
    • データの保存。
    • 運用後の更新。
    • API組み合わせの安全性。

認証の課題

  • 設置場所、利用環境をユースケースに取り入れて検討する必要がある。
  • バイスで利用可能なプロトコルは?
    • 暗号通信方式は?
    • 直接通信か、母艦が必要かどうか?
  • ディスプレイの有無。

    • UIがリッチかどうか?
    • これによって、画面上で直接認証できるか、あるいはスマホ経由の認証になるかが変わってくる。
  • IoTには2種類の認証がある。

  • YahooではOAuthを使って、以下の認証メカニズムを提供している。

    • ユーザアクセストークンをデバイスに埋め込む(ユーザ認証)。
    • バイスに対してアクセストークンを発行する(デバイス認証)。

    • "モノID"という概念が必要な時がある。

      • ユーザとモノが1:1の場合、モノをIDで識別する必要はない。
      • が、ユーザとモノが多対多の場合は、モノを一意化する必要が出てくる。
  • バイスを使わなくなった際の解除、無効化の検討も必要。以下も含めて考える必要がある。

    • 解除したあとの再認証。
    • 付与したトークンの無効化。

データの保存(センシングデータ)

  • 送られてくるのはどんな種類のデータなのかを認識する必要がある。

    • サーバはセンシングデータをセキュアに保持すべきかを考える必要があるから。
    • 必要に応じてセキュアなデータベースに保持する。
  • サーバからデバイスへのデータ送信時にも、送信対象データの種類を考える。

    • 漏洩時のリスクを考慮して、保管場所を考える。
      • バイス側のセキュアな領域に保存できるかどうか。
      • セキュア領域がないなら保存せずに利用することも考慮する。

運用開始後の課題

  • バイスのアップデート
    • 使用するデバイスによって更新できるかどうかが違う。
      • OS非搭載のモジュールだとアップデートが難しく、不具合の回復が困難。
    • スケーラビリティ
    • サービスの種類やデータによって、APIサーバがスケーラブルかを確認する必要がある。

API設計

  • YahooのIoT連携アーキテクチャはトリガーとアクションの2つからなる。
    • トリガーはイベントを起こす側のサービス。
    • アクションはイベントに対して反応する側のサービス。
    • バイスAPIの組み合わせでIoT連携が実現される。
      • つまり、新デバイス、新APIのどの組み合わせでも安全でなければならない。
        • APIレベルで安全を制御できる設計が必要。

新たな課題について

  • 課題だらけに見える。しかし考えて欲しい。
  • 数年前は試作自体にハードルがあった。
  • が、今は試作できるようになったので、新たなハードルが見えているという状態(前には進んでいる)。

  1. Yahoo社内で、各専門領域特化エンジニアに与えられる肩書。活動用に特別な予算がついたりするらしい。