Developers Summit 2017 Summer【A-7】こっそり教える有名コミュニティの裏話 ~Tensorflow、Java、PyData~ 聴講メモ
講演資料
資料公開予定なし。
概要
エンジニアコミュニティの現状、課題、裏話等について、老舗や新鋭コミュニティの中の人(運営側の人)がパネルディスカッションする。
スピーカー
- ウルシステムズの漆原さん(司会)
- ブレインパッドの下田さん(パネリスト)
- TFUG運営。Google Developer Expert。
- Microsoftの寺田さん(パネリスト)
- Slideshipの池内さん(パネリスト)
- PyData.Tokyo運営。
詳細
各コミュニティについて
TFUG(Tensor Flow User Group)
- 2016/11立ち上げ。
- 約2800名のユーザ。
JJUG(Japan Java User Group)
- 2007/4設立。
- 一時期(2012年頃)は登録者数が少なかったが、現在は6000名ぐらい。
- ちょうどOracleがSunを買収完了した時期。政治的な理由に加えて、他の言語の盛り上がりもあった。
PyData.Tokyo
設立、参加のきっかけ
下田氏
寺田氏
- JJUGは丸山氏によって立ち上げられた。
- 日本にコミュニティがないということから。
- 6年前に幹事に。
- 所属していた企業で、コミュニティの幹事になってはならないというルールがあって、事務局長になっていた。
- なぜJava Championになったのか?
- 海外の友人が多い。
- JavaOneに行ったら日本人と交わらないようにしている。時間があったら外部の人と会っている。
- 自分の活動を知ってくれている海外の人が多かったことが要因では。
池内氏
- 前の会社にいたときにPyData面白いよ、と登壇時に話をし、PyDataの人集めたら面白いと思うよ、と言ったのが発端。
- ニーズとして多そうだ、多かった、という実情もあった。
- 情報格差(海外と比して2年ぐらい遅れている)をなんとか縮めたいと考えた。
漆原氏
- 皆、情報を発信している中で見出されたという印象がある。
コミュニティ活動の醍醐味
寺田氏
- 多くの人と出会える。
- 地方のイベントに行くほうが交流が深くなる。
- 良い人に会える。
- パッションを持っている人はすぐに分かる。
池内氏
- いろんな価値観に触れられた。
- 運営を通してグローバルな発想に触れられる。
下田氏
- 自分が行きたいコミュニティを作りたいと思っていた(そして作れた)。
- データサイエンティストのコミュニティは技術者が少なかった。
- アカデミック寄り過ぎても、ビジネス寄り過ぎてもダメ。
- 価値を届けられるようなコミュニティにしたい。
- 参加者は、企画、エンジニア、アカデミックとさまざま。
- エンジニアもモバイル系、組み込み系など多種多様。
苦労していること
池内氏
- 識者に話をしてもらうのだが、誰に話をしてもらうか。
- 内容的にもディープな話をしてもらいたいが、難しすぎると誰もついてこれない。
- 講演者はイベント来場者の伝手や、スライド・ブログ等から。会社経由ということもある。
下田氏
- 内輪になりすぎず、それでいて行きたいと思う環境の塩梅が難しい。
- 最初は入門者しかいないのだが、時間が経ってくると入門者と専門家等、層が広がってくる。
- すべての参加者の需要を満たせないので、分科会を作る等の工夫をしている。
- 提供しつつ自分も楽しむ、ということの両立に苦しむ。
寺田氏
- 300人ぐらいだった頃はもっと大きくしたいと思っていた。
- 大規模化した後は、それまでやってきたやり方では回らなくなる。
参加できない人やクレームへの対応
池内氏
- connpassの抽選機能で行っている。
- ヘイトコントロールが難しい。
- 当日キャンセルとの戦い。
- ドタキャンは仕方ない。皆忙しいし都合がある。
- が、サイレント不参加は問題。本当に行きたい人が来れなくなる。
下田氏
- スルー力が大事。運営は透明にやっているので。
- (登壇枠は別なので)どうしても参加したければ登壇してください、と言っている。
寺田氏
- 事務方は10名ぐらいいて、毎月幹事会を開いている。クレームに対してもKPTをやって対応。
イベント費用の工面
池内氏
- 会場を借りつつスポンサーセッションを作っている。
下田氏
- GoogleのDevelopers Committeeから支援を受けている。
寺田氏
- 大規模化すると会場のキャパが問題になってくる。お金がかかる。
- ボランティアでやっているのでお金を儲けることはできない。
- JJUGのTシャツを作ったら、売ってくれと言われたが、売ったら商売になっちゃうので難しい。
コミュニティ活動で失ったもの
寺田氏
- イベントは週末になりがちなので、家族との時間。
池内氏
- コミュニティの色がつきすぎた。
- 他にも言語を使っているが、PyDataの人という見方をされてしまう。
下田氏
コミュニティへの参加と会社の理解
寺田氏
- コミュニティに参加すること自体は上司とか関係ない。
- 自分自身を高めるために、アンテナを広げるために行くものではないか。
- また、昨今はSNS等、外のつながりが転職にすごく有利になっているという側面がある。
- よって、旧来の会社は、エンジニアをコミュニティに出したくないと考えるかもしれない。
池内氏
- 自分は(トップなので)自由に動ける。
- その上で(勤め人に対して言うならば)自由に動けばいい。
- コミュニティ参加の効果を説明する際、前の会社ではコミュニティ経由で仕事に繋がった経緯があったので、数値ベースで話をしたことがあった。
- このコミュニティとつながることで○○万円の仕事が得られたんだよ、的な。
下田氏
- コンサルに近いような会社なので、間接的な効果を理解してもらうのが難しい。
- 半分は仕事とは関係ないが、半分は無理やり仕事とつなげるようにしている。
- 戦略的に動かないといけない。
健全なコミュニティ運営
池内氏
下田氏
- 幹事を一人でやっているので、意見が割れることはない。
寺田氏
- 幹事は20名ぐらい。毎回出てくるのは10名。
- 幹事自体の入れ替えをやっている。長らくアクティブでない人は卒業してもらったりとか。
- 女性を幹事に入れることで、託児所やコーヒースペースを設けるなど、視点の多様化が図られている。
- 参加者自身も変化している。
- これは幹事自身が若返りをしているからと考えている。
- 新たに幹事を任命する際は、幹事メンバーの過半数承認が必要。
- パッションを持っている人に(幹事にならないかと)声をかける。何よりも重要なのはパッション。
- JJUGでは会長1名、副会長2,3名を置いて、その下に幹事。
コミュニティへの貢献方法
池内氏
- 質問をする。
- 興味深く聞いてくれたことを登壇者に伝えられるし、盛り上がった、という印象を与えられる。
下田氏
- 会場で得られたことをブログやSNSで配信して欲しい。
- 主催者側に大きなカンファレンスを主催するための後押しをしてほしい。
寺田氏
- 会場のボランティア。
- いいドキュメントを見つけたら、翻訳、共有する。
- 今後、英語のドキュメントの邦訳はますます減っていくだろうから。
- JavaのEarly Versionを試してバグを見つけたら報告とか、できることはたくさんある。
運営に向いている人
池内氏
- ホスピタリティがある人が向いている。
- 登壇者や参加者への配慮という観点で。
下田氏
- 前には出ないが、作戦を立てて盛り上げていく軍師タイプの人。
- 仕掛け人をやるのが面白いのでは。
運営側に回ることによるメリット
池内氏
- (普段の仕事ではなかなか得られない)マネジメント視点、組織運営視点を得られる。
下田氏
- 自分が行きたいコミュニティを作ることができる。
最後に一言
池内氏
- サイレント不参加の風潮をなくしていきたい。
- 抑止策を考えざるを得なくなってしまうので。
下田氏
- 気軽に来てほしい。
- (人数的に参加できない人がいるというツッコミに対して)パッションを持って運営側に来て欲しい。
寺田氏
- ソフトウェア開発で世界との対等性を得ていくためには、コミュニティの力が不可欠と考えている。
- 世界と日本の標準がかけ離れているという実情がある。
- 海外では『Strutsなんて使うかよ』だが、国内だと『そうは言っても…』。
- どのコミュニティでもいいので参加してアンテナを張り、情報を入手し、広めていってほしい。
- 会社の先輩、後輩に声がけしていって欲しい。
- 世界と日本の標準がかけ離れているという実情がある。