組み込みエンジニアが目指すIoTストラテジストへの道(1)

はじめに

 はい。いつものとおりです。

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 この度ITストラテジスト試験に合格しました。

ITストラテジストとは何ぞ?

 WikiPediaによるとすごいことがいっぱい書いてあるんですけど。

ja.wikipedia.org

事実上の情報処理技術者試験制度の頂点に君臨する区分

あらゆる国家資格の中でも最難関級の部類に属し、その難易度は国家公務員総合職採用試験、公認会計士試験、税理士試験などと肩を並べるレベルと言われることも多い。

高度試験の中でも最高峰の区分と呼ばれることも多い。

IT系の資格では唯一、弁護士、公認会計士、医師、技術士等と並び、厚生労働大臣によって「専門的知識等を有する労働者」に指定されており、労働基準法において特例扱いの対象となる。

本資格を取得した社員に与える褒賞金の額を最大に設定する企業が多く、中には100万円を超えるものもあるほどである。

……。

…いや、どうかなぁ…とあまりのハッタリ感に取得した人間のほうが圧倒されそうです。 (とりあえず100万円はもらえない)

実際のところ

 実情はIPAのページを見たほうがいいでしょう。

www.jitec.ipa.go.jp

ポイントはここで。

2.業務と役割

ITを活用した事業革新、業務改革、革新的製品・サービス開発を企画・推進又は支援する業務に従事

3.期待する技術水準

事業企画、業務改革推進、情報化企画、製品・サービス企画などの部門において

 この資格のポイントは、『経営』とか『企画』というキーワードです。端的に言うと、

  • 『ITによって、どのように自社の競争優位を獲得して金を稼ぐか?』を考える仕事の資格

 と雑にまとめてもいいかもしれません。

 ITエンジニアの仕事って、基本的に、

  • IT技術を使って、どうやってプロダクト・サービスを効率良く作って運用するか?

 すなわちHowの領域に属するもので、IPAの大半の資格の価値はほとんどここに帰着しますが、ITストラテジストはちょっと毛色が違っています。

 つまり、企業の経営視点上から、

  • 自社としてはどの市場に参入、投資すべきか?
  • 誰をパートナーとして何を交換すれば、競争を優位に進められるか?
  • 市場の困りごとは? リスク要因は? どこを守りどこを攻めるべきか?

 といった、ITを企業や社会に敷衍する上での全体的な戦略を考える能力を問う試験です。この領域はもはやエンジニアと言うよりも、事業企画系、経営戦略系の仕事なんですよね。

ITストラテジストが『最高峰』という誤解

 ITストラテジストが前述のとおりやたら持ち上げられるのは、この試験の前身であるシステムアナリストの圧倒的な難易度(年齢制限+合格率5%という超難関)が影響している側面もありますが、我が国の経営と技術のヒエラルキーからも悪影響を受けているんじゃないか、とも思っています。

 経営や企画が上、技術が下という考え方でIPAの資格を見てしまうと、どうやっても経営や企画の能力を問うITストラテジストを持ち上げたくなってしまうのです。

 今のITストラテジスト試験はかつてのシステムアナリストよりずっと合格しやすくなっていますし、エンジニアたる我々はこれを正視眼で見る必要があります。

 すなわち、この試験は企画者、戦略立案者のための試験区分でしかなく、技術力、運用力を問う他の高度試験区分と何ら上下の差はありません1

 これはIPAのWebページの図にもはっきり示されているところです。

www.jitec.ipa.go.jp

 ただ、ITストラテジスト試験はもう一つの例外であるシステム監査技術者試験同様、

  • 単なる技術知識だけで太刀打ちすることが難しく、別レイヤの知識が必要になるのと、
  • HowではなくWhatやWhyを考えるという、一段抽象化した思考様式が必要になる

 ので、エンジニアのスキルセットだけだと手強いっていう話です。

 この辺の誤解を説いた上で、エンジニアの私がどのようにこの試験に挑んだか、を話していこうかと思います。

事前状態

  • 高度情報処理技術者は4つ(SC,ES,SA,AU)取得済み。
    • 論文試験2本、かつ両方とも一発突破。
  • ITストラテジスト試験の受験経験はない2
  • 基本的には技術部署にいる技術仕事な人。事業企画系部隊にいたことはない。
    • 仕様書書いたりコードを書いたりはんだ付けしたり…。
  • ただ、最近上司から商品販促、戦略系の相談が増えてきた。
    • 『どの市場に売り込むべきだろう?』『だれが最後に勝つんだろう、そこと組みたい』
  • もともと戦略的に、俯瞰的に考えることが好きなタイプ3
    • ネトゲなどでは個人技を披露するより参謀っぽい役回りをすることが多かった。

 おそらく、本人の特性、環境ともに、割とこの試験に向いている状態で受験しています。

 所属部署でも戦略的俯瞰をして打ち手を考える需要が増えてきた中で、その役割を担う意味でも取る価値はあろう、という動機もありました。

教材について

 今回もシステム監査技術者試験同様、独学で参考書と問題集を買って臨んでいます。

 えーとですね…。

試験対策本

情報処理教科書 ITストラテジスト 2019~2020年版

情報処理教科書 ITストラテジスト 2019~2020年版

  • 作者:広田 航二
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2019/03/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

2019 ITストラテジスト「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)

2019 ITストラテジスト「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)

 情報処理教科書は色々買ってるんですけど、このITストラテジストの情報処理教科書はなかなか当たりです。特に午後Iの解答に迫るための方法論、午後I特有のもやもやについての記述もあり、覚えることは多いですが対策力は高めです。

参考書

 実はこっちのほうがポイントなのです。情報処理技術者試験の勉強をするなら対策本を買うのは当然なので。

 ITストラテジストの主戦場が経営、戦略、企画だと言うなら、その戦場にリーチしないと勝ち筋が見えないじゃないですか。

 とりあえず『この1冊ですべてわかる 経営戦略の基本』の内容を理解していれば問題ありません。ITストラテジスト試験で問われる経営戦略の基礎理論とフレームワークが非常によくまとまっています4

 基本的にはこの辺を揃えて、今までどおりの論文系試験と同じ対策をしてきた、ってだけなんですが、次回以降、もう少し掘り下げていきましょうか。


  1. もっと突っ込んだことを言うと『ITストラテジストだけ取得しても、企画屋としてはともかく、ITエンジニアとしてはまるで大したことはない』まで言ってもいいと思っています。実装、設計、プロジェクト管理等のIT開発の各側面を理解した上で取得して初めて、ITストラテジストが最高峰としての位置づけを有する(開発の全レイヤにおいて活躍できることを意味する)のだ、というのが私の理解です。

  2. そう、今回も一発突破。

  3. でも戦略しか考えてなくて手を動かせないやつは嫌い。

  4. 私はここで教えてもらいました(https://blog.apar.jp/other/12529/)。何事でも先達はありがたいものです。