『本プロジェクトの目的は、プロジェクトマネージャ試験に合格することである』(1)
はじめに
久しぶりに書くわけですが、冒頭は…まぁ…いつものとおりです。
この度プロジェクトマネージャ試験に合格しました。
プロジェクトマネージャ試験とは?
このページにたどり着く方であればご存知の方も多いと思いますが。
高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者
という人材モデルを意識した、高度情報処理技術者試験の一区分です。
IPA試験の中では昔から実施されており、かつ昔から人気が高く、合格率も低い資格として有名です。
IPA試験の中ではITサービスマネージャと並んでマネジメントに関する知見を問う試験であり、他の試験区分と比して、テクニカルな要素が問われづらいところから、非ITエンジニアが受験を企図することも多くあります。
WikiPediaにも記載がありますが、プロジェクトマネージャ試験は、ITストラテジスト試験、システム監査技術者試験と並んでIPA論文試験の最難関級の試験としても知られています(私は勝手に三大難関と呼んでいます)。
なぜこの試験を受けようと思ったのかについては、事前状態を説明しながら追々。
事前状態
まぁ…正直なところを言うと、今回の私は勝つべくして勝つ状態で挑むことになったので、後に続く人にとってどれぐらい参考になるかはちょっと分からないのですが。
- 高度情報処理技術者試験は7冠。
- テクニカルスペシャリスト全制覇(SC,ES,DB,NW)。
- 論文試験区分3つ(SA,AU,ST)
- 技術士(情報工学部門)。
- マネジメント、リーダーシップ、評価、コミュニケーション、問題解決等、プロジェクトマネジメントで問われるコンピテンシーを公式に認定されている立場。
- 口頭試験中にマネジメント経験について説明したりしている。
- プロジェクトマネジメント経験を数年単位で有している。
- 小規模なテストマネジメントから、顧客に相対する億単位のプロジェクトまで。
- 当事者としてマネジメント上の問題をいくつも抱えてきた。
なぜ受けようと思ったのか
私の過去の論文試験合格のエントリ(↓)を見た後でこれを見ると、
『他の試験は未経験気味でぶっ込んでるのに、何でお前今までこれ取ってなかったの?』と言われるぐらい、私自身のキャリアとは親和性がある資格に見えると思います。
これは私自身の個人的な事情で、プロジェクトマネージャを担当してもあまり割の良い経験ができなかった(最終的に体を壊してしまった)ので、今の組織ではプロジェクトマネージャを卒業していて、『もうプロジェクトマネージャやりたくないなぁ』と、以前から思っていたからです。資格を取ってしまうと関連の仕事を回されかねないですからね。
ただ、よくよく考えると、今の私は技術士(情報工学部門)になっていて。
前述したとおり、技術士(情報工学部門)は、プロジェクトマネジメントに必要なコンピテンシーを明示的に問われ、その発揮を期待されている立場です。
加えて、ここでも紹介したんですが、
政府調達の立場から見ると、プロジェクトマネジメントについては、技術士(情報工学部門)はプロジェクトマネージャ試験合格者と対等の立場として取り扱われています1。
私はかねてからこの事を知っていたので、技術士を取った時点で最早不要とも思ったんですが、逆に、
『今となってはプロジェクトマネージャ、持ってても持ってなくても変わらなくね?』
と思い直しまして。
せっかくここまで来たんだったら行きがけの駄賃、
という意味でも、このタイトルを勝ち取ってしまおうと思ったので、あえて取ることにしました。
教材について
私のIT系論文試験本の冒頭でも書きましたが、
IPA試験に挑む際には対応する試験区分の攻略本を読んで、各区分の個別技術知識を付けることを勧めています。
試験対策本
今回はこれを使いました。
PMの攻略本といえばこの人、と言われるぐらい有名な方が書いている本です。
実際見てみた感じ、この本を徹頭徹尾、真剣に読み通せば、かなり合格率を上げられるだろう、というのが私の感覚でした。要求される知識は一通り集まっており、午後問題の解説についても納得感のあるロジックで説明されています。
また、試験受験のモチベーションを高めるためのコラムが随所にあったりするなど、攻略本としての工夫には私も参考にする所が多くありました。
一方で、情報密度が非常に高い所から、読み通すには相応の根性か計画性を要します。自身の経験を持ち込みながら咀嚼する箇所も出てくるので、プロジェクトマネジメントについて全くの初心者である場合、読解自体も難しくなってくる側面があります。
私のようなプロジェクトマネージャ経験者が読むのであれば隙のない本ですが、未経験者の場合はもう少し平易な書籍から始めても良いかもしれません。
参考書
今回は実務を経験していますし、関連書籍も大分読んでいるので、PMBOKの体系さえ整理できてしまえばいい、という判断のもと、これだけを読んでいます。
PMBOK上のプロジェクトの構造や用語、概念について図を多用した説明がされており、プロジェクトマネジメントとはどんなものなのかを解説しつつ、PMP試験への足がかりにもなる本になっていました。
実はこれだけでは足りていない…。
通常、というか昨年までの試験であれば、おそらくこの2冊があれば問題なく攻略できただろうと思いますが、実は今年の試験から一つ変わった所があって。
一方で、私はその変わった所に対する書籍を特に揃えませんでした。その辺りは過去に私自身がたくさん読んできていたからです。
この、『プロジェクトマネージャ試験の今年度の変更点』と『私自身の過去の蓄積』から、次の話を始めるとしましょう。